高橋桃水のアラカルト
髙橋透水の俳句を紹介します。
剪定や慣れし梯子と地下足袋と
啓蟄や追試の人生続きをり
あんよより這ふを好む児桃の花
一枚の風となりくる喧嘩凧
ひきがえる交尾後深き眠りかな
父の日や叱られたくて山を見る
窯出しの壺に馴染ます若葉風
鑽火して喧嘩神輿の木遣歌
呼吸する土蔵の窓や春闌くる
卯の花や洗礼名の遊女墓碑
一本は緩みてをりぬ鵜の手綱
青大将草に残れる冷えの跡
まづ足の阿保になりゆく阿波踊
祭終へ面のまどろむ社かな
いい恋をして白靴の乱れざる
羽抜鶏よろけ鶏冠に赤み差す
△老鶯のケキョの長引く化粧坂
残る歯に噛ませてをりぬ冷奴
夏料理ものの形に生きてをり
豆腐屋のラッパ夕焼の路地を吹く
歯を入らば女薫れる夜の桃
黒蝶の午後は最も生きて黒
天と地の引きあつてゐる鰯雲
村中の光集まる大根干し
縦横に光閉ぢ込め紙を漉く
冬耕や犬のみてゐる穴一つ
どこまでも追つてきさうな焼芋屋
くしゃみしてお国ことばになる舞子
能登の海ただ鳴くのみや波の花
光ごと引つくり返る朴落葉
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